ジャララバード市内から北へクナール州へ向かう途中を西へ入り車で約2時間半のところに位置するダライヌール郡ドダラク村で現在学校建設事業を行っている。ドダラク村とSVAの出会いは緊急救援での食糧支援の際に訪問した2002年に遡る。名前の通り険しい渓谷で村が山沿いに点々としている。ドダラク村は東西に分かれる谷の西側に位置し、車で行きことができる最終地点である。この先のワイガル村へは徒歩で行くしかない。
ドダラクの赤ひげマリックはダライヌール郡ではちょっとした有名人である。長年の戦争の中で、その頭角を現した。マリックの話は興味深い。最初の戦闘は、対ロシア戦。当時の武器は鉄砲が主でそれも1回1回弾を入れないといけないかなり旧式のタイプであったという。この旧式鉄砲で山々を駆け回りゲリラ戦を繰り返したという。いつしか気がつけば、カラシニコフやロケットランチャーなどの新武器が流入しそれで戦ったという。対ロシア戦が落ち着くと少し平穏が訪れたかのように見えた田舎のこの村は、今度は対タリバンの戦闘が開始される。今でこそ柔和な顔のマリックは、とにかく村を守るのに必死だった、と語る。
そんな彼が、村の学校建設計画を実行しようとしたのは3年前。平和になったのに、村の女性が医者にもかかれず死んでいく、若者は仕事もなく貧困化していく村、そんな様子にマリックは村の教育向上を目指し立ち上がった。パシャイ族であるこの村では、アフガンの共通語であるパシュトン語やダリ語を操れる人も限られている。これでは、村の発展は危うい、と感じたという。そんな彼が選択した、建設地は見晴らしはいいものの、絶壁で数々の大岩が連なる。「本当にここに学校を・・・?」かつての、失敗がよみがえる。しかし、マリックは俺を信じるんだ、といわんばかりに、なかったところに道をつくり、村人を動員して水ためを作り、何トンという水を確保して建設に備えた。必ずやりとおす。彼の信念である。会うたびに真っ黒に日焼けしていくマリックは毎日のように現場監督にはげんでいる。
私も祈る思いで完成を待ち望んでいる。
2006年3月27日
アフガニスタン事務所 山本英里