カンボジアに赴任して以来、カンボジアの農村の小学校を訪問する度にどうしても理解できないことがあった。その一つに、まず、大半の小学校に運動するグランドが無いこと。広い場所はあっても、最近のカンボジアの環境ブームの影響か、校庭のど真ん中に木が無計画?に植えられて子どもたちが運動をする場所がないこと。もちろん教室の不足、先生の不足、教科書、教材の不足と数えたらキリがない。
また、国旗掲揚塔が校庭のど真ん中に作られてしまいやはり運動が出来ない。さらに農村には、大抵、野生の芝が生えているがそれを上手に使えば、日本では出来ない到底出来ない夢の芝生の校庭が出来るのに、わざわざ野生の芝を切り取っている。芝があれば、雨期は校庭がドロドロにならなくて済む。乾期は埃を防げる。農村の小学校をよく観察すると、子どもたちは残った芝を上手に使って雨期は、ドロドロにならないので遊んでいた。乾期も埃りが立たないので上手に遊んでいた。
小学校の建設とは、校舎だけを作ることではないはずだ。カンボジアの教育省は、正式には、「教育・青年・スポーツ省」。スポーツが、体育がほとんど小学校で教えられていない。また、その場も小学校には無い。カンボジアの教育省にも、小学校の建設基準がまだ整備されていない。もちろん地方の県の教育委員会にも存在していない。
とうとうカンボジア国内だけで考えていては、柔軟な発想は出来ないと昨年、12月末にタイの東北地方で、カンボジア文化県のスリン県バーンサワイ村の小学校や図書館の視察・交流研修を強行した。村では、カンボジア語の話せるティラポンサン、バンヤー和尚、元バーンサワイ小学校のプラサート校長等が講師となって様々な経験を話してくれた。
カンボジアと自然、気候、文化も変らないバーンサワイの小学校を見て「小学校の建設は、20年後の将来を見据えて校舎の位置、運動場、木を植える位置、遊び場等を計画的に設計しなければならない」というバーンサワイ村の先生たちの言葉に、SVAのカンボジア人スタッフたちは感銘を受けた。これまでは、教室、校舎全体、井戸、トイレの建設の質には自信があつた。これからは、さらに今後は、学校全体の設計のモデルを作る夢が広がっている。
快適・機能的且つ耐久性のある教室、校舎、井戸、トイレに加えて、SVAの特徴である図書活動、さらに運動場、木や花といった環境のモデルを作ることを具体的に開始した。まずは、3月1日から3日間、コンポントム県で、県の教育長をも参加して、モデル、夢の小学校作りの研修会を開催予定。
今年、カンボジアの小学校のモデルを具体的に作る一歩を歩み始めた。知育、徳育、体育、健康、子どもたちが心身ともに健やかに育つためには、教育環境の整備は欠かせない。カンボジアという教育の遅れの逆境を生かして、夢と逆転の発想でモデル作りの夢に挑みたい。
八木沢克昌