「SVAは、何故、こんなに辺境の村にばかり学校を作るのですか」。学校建設を担当している建設業会社の担当者からため息混じりに嘆かれたことがある。確かに私たちが学校を建設する村は、中部コンポントム州やシェムリアップ州の街や幹線道路から凸凹道を車で3時間も走るような村がある。
大抵は、辺境の農村の最貧困の村を学校建設の対象としている。辺境の村は、ジャングルを切り開いた新しい村が多く、マラリアの汚染地域。ある村であまりにもマラリアが多く技術者が全員、逃げ出してしまったことがある。もちろん電気もない。また、コンポントム州は、最後までポルポト派が抵抗した地域で、政府軍との激戦地が多く、学校の周辺にも地雷や不発弾が埋もれている場合がある。学校を建設する際は、最初に地雷の処理と不発弾の処理を行わなければならない。
また、辺境の村の場合は、資材を村までトラックで運ぶ道や橋がなかったりする。その場合は、村が責任を持って道路や橋を造ることが学校建設の条件となる。学校の敷地の確保、敷地の整地や基礎の土盛りも村の責任だ。新しい村の場合は、必ずしも村の組織や絆があるわけではなく、リーダーが不在の場合もある。そこで必ず村の中に「学校建設委員会」を組織する。そして、村の精神的支柱の寺院の僧侶との協力と参加が不可欠となる。こうした学校を建設する際には、 SVAの学校建設のスタッフの役割は、大きい。真の住民参加を「触媒」として促し、「自分たちの村の学校」という意識と誇りを作ることが学校の持続性を考慮した時の基礎となる。
学校の校舎だけを建設するのではあれば、建設会社任せにすればいいので、それ程難しくない。こうした方法をとっている団体もある。しかし、この方法を取ると必ずといっていいほど、村人の依存体質を作り、自立を阻害してしまう。井戸や校舎が壊れても誰も修理をしないで放置されてしまう。
学校を作る前に、まず、村づくり。そして、学校に対して教師や教科書、教材等を送る責任と権限を持つ州の教育局、郡の教育局との信頼関係は不可欠。村だけでなく、郡や州レベルの担当者が調査、計画から参画することも極めて重要。「自分の郡の学校」「自分の担当した学校」の誇りと愛情がなければ、辺境の村まで悪路の遠路をわざわざ足を運ぶことはない。
村人も両親も自分の子どもは可愛い。将来、自立して幸福になって欲しい。学校は、教育を通して、貧困を克服し村人の未来への希望と夢を叶える場。学校は、ハードであり、ソフト。SVAの役割は、子どもたちから村人、教師、村、郡、州政府を巻き込んで、学校が学校として本当に機能するための過程の「触媒」。辺境且つ最貧困の村の学校の建設を通して、村づくり、人づくりの大切さを痛感する毎日だ。
八木沢克昌
写真:典型的なシェムリアップ州の辺境の農村の小学校。小学校の敷地には、地雷や不発弾が埋もれている。建設の前に、地雷の除去を行う