「アプサラ」とは天界に住む美しい天女たちのことです。アンコールワット遺跡を訪問された方は、壁画に刻まれたアプサラの彫刻をご覧になったと思います。アンコールワットの中に1000体あるアプサラの像一体一体が違う装飾品を身につけています。
カンボジアには多くの古典舞踊が存在しました。その中でもアプサラの舞は古代から伝わる伝統的な舞で、20世紀の半ばプレア・モハ・クサットライ・ヤニーロアット・シソヴァット・コサマック・ニアリーロアット・セレイヴァッタナ女王により新しく生まれ変わりました。ただ内戦などで文化が破壊され、アプサラの舞を踊れる人たちも減ってしまいました。
次世代にアプサラの舞を伝えたい。芸術大学の教授であるナロム先生の強い思いがあり昨年シャンティ湘南様、ハンカチの木様、小杉太一様のご支援により「アプサラの舞」の本を出版することが出来ました。ナロム先生は、内戦で生き残った舞踊研究家の一人。もう年ゆえに「文化を伝えれない」というプレッシャーから声を失っていました。この「アプサラの舞」の作業を通じて希望を見出し、声も取り戻しました。天女が先生に幸運を運んできてくれたのかもしれません。
本を配布して約1年。バンテイミンチェイのソピー小学校を訪れた図書館チーム。休み時間になり、子ども達が一斉に図書室に押しかけてきます。ふと目を移すと、「アプサラの舞」の本を広げながら、子ども達が柔軟体操をした後、踊りはじめているではありませんか!誰も踊りを強制しなくても、子ども達が自分の意思でアプサラの本を見ながら同じポーズをとっていっている。カンボジアの踊りを踊りたい、と子どもの心に湧いてきたのでしょうか。ナロム先生の強い思いは実を結ぼうとしています。
本は子ども達に様々な気づきと機会を提供します。その無限大のチカラを感じました。
鎌倉幸子