今月初旬から中旬にかけて、昨年度ご支援を頂いた図書箱と絵本を12の小学校に届けました。届け先は昨年から今年にかけてSVAが建設を行った衛星校の小学校です。
カンボジアでは、いくつかの小学校をひとつのグループと考え、その中心にある比較的規模の大きい小学校を中心校とし、この中心校に資源を集めることで、教育の質を効果的に高めています。これまでSVAの図書館事業課でも、この中心校の先生と校長を対象に図書室や絵本の扱い方、読み聞かせや飾りの作り方の研修会を行い、研修会終了後に絵本と図書箱を配布してきました。現在も中心校の先生への研修会を継続していますが、より困難な環境に置かれている子どもたちにも絵本を届けたいという思いから、SVA学校建設課と連携して、衛星校の小学校へ図書箱と絵本を届け始めました。
衛星校までは、土の凸凹道を走り、ジャングルを抜け、何時間もかけてようやく到着します。到着すると早速先生に図書箱の使い方、絵本の扱い方を伝えます。1校に届ける絵本は100冊以上。先生の多くもこんなにたくさんの絵本を一度に見るのは初めてで、説明を聞きながらも夢中で絵本を読んでいました。しかし、さすがは、長年研修会を行ってきた図書館事業課のスタッフです。そんな先生にもわかりやすい言葉を選び、丁寧に説明を行います。そして、「汚れた手で本を触ってはいけませんよ。この本はみんなのものですので、大切にして下さいね。」と、生徒にも絵本の読み方、扱い方を説明します。
説明の後は読み聞かせの時間です。お話の前には生徒の緊張を解き、お話に集中できるよう、簡単なゲームを行います。それまで、何が始まるのだろうと緊張した顔をしている生徒も、ゲームが終わる頃には大きな瞳を輝かせながら満面の笑顔を見せてくれます。そして、いよいよお話が始まると、生徒はスタッフの声に耳を澄まし、時には笑い、時には一緒に声をかけます。
そして次は、読書の時間です。「本を読んでいいよ。」というスタッフの声を聞くと、みんな我先に図書箱まで走って本を取りにいきます。どの学校でも図書箱の周りは生徒の熱気で満ちています。そして、絵本を手にするとさっき教えられたように、どの子もとても大切そうに絵本を胸に抱え、各々の好きな場所で絵本を読み始めます。この時ばかりは、先生の声も、スタッフの声も生徒の耳には届きません。みんな初めて見る絵本に夢中です。あまりにも真剣に絵本を読んでいる様子にしばし見入りながら、何人かに声をかけました。
「お話どうだった?」と私。「前に教科書に載っている話を、先生が読んでくれたことはあるけど、こんなおもしろいお話を聞くのは初めて。楽しかった!」と生徒。「絵本に夢中だったけど、おもしろい?」と私。「うん。色がきれいでうれしい。絵本を見るのは初めてなんだ。」と生徒。「これからは毎日絵本が読めるね。」「うん。ありがとう」このようにして、カンボジアの小学校で今日も子どもたちが絵本との出会いを楽しんでいます。カンボジアでは今、教科書不足が問題になっています。1人1冊教科書が持てず、せっかく習った文字も復習することができません。僻地にある衛星校では、特にこの状況は深刻です。このような環境の中、習った文字を使い絵本を読むことは、子どもの想像力を養うだけではなく、学習の質の向上にもつながります。
昨年度、図書箱へご支援を頂いた皆様、そして、絵本を届ける運動にご参加頂いた皆様、真にありがとうございました。引き続き今後も"Book for All!?全ての子どもに絵本を?"をスローガンに、学校建設課と連携して、僻地の学校へ絵本を届けてまいりたいと思います。
鈴木晶子