「カンボジアにおけるノンフォーマル教育支援(子どもの識字教育)」
シャンティ国際ボランティア会 プノンペン事務所
実習期間2006年8月21日?9月15日
桜美林大学国際学部国際学科2年 横井佐奈
私はインターンの実習期間の間にNGOなどの7団体を訪問し、ノンフォーマル教育について調査した。現在、日本バングラデシュのノンフォーマル教育に関係する支援活動を行っており、同じように最貧国と呼ばれるカンボジアではどのような団体が、どのような活動をしているのか興味があった。
訪問したNGOは、日本のNGO、日本以外で海外からのNGO、そしてカンボジアのNGOと3通りの場所を選んだ。それらの団体は、Center of Peace、JLMM、SCADP、Friends-International、Mary Knoll、World Education、とUNICEFである。全ての団体はノンフォーマル教育の支援活動を行っているという共通点はあるが、対象としている子ども、あるいは人、行っている活動もそれぞれ異なっている。 まず、ノンフォーマル教育を行っているということで全ての団体の共通点は、何らかの理由で学校に行けない子ども(あるいは大人)への支援である。ではなぜ、この国ではあまりにも学校に行けない人たちが多いのか、自分なりにまとめてみた。原因は様々である。大きな原因の一つは貧困だ。お金がなく、教育のためにお金を使うよりも子どもに働かせて収入を得る方が生活のためになるため、学校に行くという選択をとれる子どもが少ない。学校、先生の不足も大きな原因の一つだ。学校や教室の数が足りず、遠くて通えなかったり、人数がいっぱいで通えなかったりする。教員の質の悪さも目立つ。本来ならば無償である義務教育も、先生がお金を徴収するため貧しい子どもは通えない。また、生徒に対する配慮があまりなく、できない子は先生にも放って置かれどんどん落ちこぼれていってしまうというケースが多いことを知った。更に、カンボジアは教育システムが一度消滅してしまった国である。現在復興中であるが、まだまだ工夫が足りないな、と感じられた。小学校で教える教科は算数、クメール語、ソーシャルサイエンス(理科・社会)のみらしく、音楽や体育、図工など子どもたちが楽しめる授業、また子どもたちの想像力を高めたりできる教科が非常に少ない。学校を楽しくすること、これはドロップアウト率を減少するためにも、大きな課題ではないかと私は考える。以前まで存在した進級テストも非識字者の子どもが多い原因でもあると思う。落ちこぼれた子は文字が読めないまま、つまり進級テストに合格することができずいつまで経っても上の学年に上がることができない。つまり必然的にドロップアウトすることにつながってしまうのだ。 このように、訪問した団体からはカンボジアではたくさんの子どもたちが学校に通えない理由、と言うのを聞き出してみた。まず驚いたのは非識字率が高いのと、ドロップアウト率が高いことだ。UNESCOの統計によるとカンボジアの非識字率は62%にのぼるそう。またドロップアウト率も1年生で全体の11.7%もいるそうだ。そして教育という場からかけ離れざるをえなかった人々。なんらかの理由で教育を受ける権利をもてない人々のために、ノンフォーマル教育は存在すると私は考えている。またそのような人が多いのは、フォーマル教育自体がしっかり機能していないからだとも考える。カンボジアではより基礎的な部分からしっかりさせていく必要があるのではないかと感じた。 また、カンボジアならではの衝撃もあった。カンボジアでは忘れてはいけない、重い歴史がある。ポルポト政権の存在は現在のカンボジア人にとってとても大きな影響を与えている。スタッフの方々もほとんどが家族や自分が被害者である。お話を聞かせていただくたびに、悲しくなった。悲惨さの重さを感じた。また、子どもが教育を受けれない理由の一つとして、子どもの親の世代の多くが、教育経験から離されてしまった人たちであるため、教育を受けることの必要性を理解できない人が多いと聞いた。悲惨な過去が、現在にも重くのしかかっている。あらためてカンボジアの歴史、ポルポト政権の苦い影響力を感じた。 7つの団体を訪問して、それぞれの活動の個性を見ていくのは、様々な形の支援があることを知ることができて良かった。例えば教育を行っている場所が様々である。お寺の敷地内の一角を使って授業をしていたり、住み込みのシェルターで生活しながら教育の場も与えたり、各自で小屋を作って授業をしていたり。対象としている子どもたちのバックグラウンドも様々であった。地方から貧しい家庭にある子どもを住み込みで生活させている団体もあれば、ゴミ山で働いている子どもたちを対象としている団体、学校から落ちぶれてしまった子どもを短期間で集中的に教育している団体など、本当に様々である。彼らたちの活動があって、教育を受けられる、読み書きができるようになる子どもたちが増えていると言う事。当たり前のことかもしれないけれど、私にとってその現実を知ることはとても大きなことだった。「将来、国際協力に関わった仕事をしたい」といつも考えてはいるものの、たまに開発や支援というものが本当に良いことにつながっているのか、とわからなくなることがある。しかし、実際の現場を見て、励まされた部分が大きい。まだはっきりと自分が進む道のことはわからないが、少しだけ定まったような気がする。それは大きな進歩であったと思いたい。 最後に、お世話になったSVAのスタッフの方々、訪問先のスタッフの方々に、このような未熟者の私をたくさん助けていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。