SVAでは、昨年11月に発生した巨大サイクロン「シドル」によって甚大な被害を受けたバングラデシュ南部の被災地で復興支援を行っています。
復興支援活動の一つに「サイクロン・シェルター」の建設があります。いつ発生するのかわからないサイクロンが再び村を襲った時に、村人たちの命を守るための建物です。
また、このサイクロン・シェルターには「多目的集会施設」の機能もあります。災害時だけに使用されるのでなく、大人たちの会合の場になったり、子ども達が勉強するコミュニティー学校になったり、普段から使われる事で、村の人たちに「親しみ」を持ってもらうことも大切です。巨大サイクロンが再び発生したときには、近所どうしで声をかけ合って、早い段階でこのシェルターに避難できるような「防災教育」も、今後このシェルターを使って行われる予定です。
今月からサイクロン・シェルターの建設が始まった、バングラデシュ南部の「ガジマハムッド村」(ノルトナ郡)の建設現場で、村人からサイクロン「シドル」が上陸した時の話を聞きました。
「突然、雲のように水の壁が湧き上がって、一瞬で家族と家を流し去ってしまった・・・」
話す間も瞳の焦点が定まらないアラムギルさん
あの晩、水の壁は2km先の木々の向こうからやって来た。
「今は、もう何もする気がおきない」と言う、アラムギルさんは、サイクロン「シドル」による高波で6人の家族を失いました。
ご両親と7歳、8歳、16歳の三人の息子さんと18歳の娘さんです。
奥さんは30kmも離れた場所まで濁流に流され、翌日発見されました。
かろうじて助かった奥さんと7歳の娘さん、2人のために生活の再建を図ろうとしていますが、ショックのあまり、何も手に着かず、川に漁に出ることも出来ないそうです。
サイクロン「シドル」が村を襲ったのは、昨年11月15日の深夜のことでしたが、その2週間ほど前からほかのサイクロンが発生していて「避難警報」が何度も繰り返されていたそうです。2度3度と警報が繰り
返されるなかで「今度もきっと大丈夫だろう」と思い、安全な場所へ家族を避難させなかった事が今でも悔やまれてならないと、語っていました。
この村でサイクロン・シェルター建設を始めた我々スタッフも、アラムギルさんのお話を伺って、「安全な場所へみんなで逃げよう」という意識を持つ事の大切さ、そのための防災教育やトレーニングの必要性をあらためて実感しました。建物だけでは人の命は救えないのです。我々「地震の国」に住んでいる日本人にとっても大切な教訓だと思いながらお話を伺いました。
緊急救援担当スタッフ 白鳥 孝太