バンコクには、ベニヤやトタンといった簡易な材料で作られた粗末な家が狭い路地を隔てて隙間なく立ち並んでおり、このような人口密集地が1,500以上もあります。こうした地域で火災が起こると延焼し大惨事に発展しやすく、11月から3月の乾季に当たる時期には火災が頻発して起こっています。
クロントイはタイ国最大のスラムで、タイの運輸の要であるクロントイ港に面した港湾局の土地に不法占拠してできたものであり、現在約12万人が暮らしています。2007年に入ってから、そのクロントイおよび近隣のスラムで続けて3度、火災が発生しました。
1月31日19時30分頃に発生したクロントイLOCK10地区の火災では5軒が焼失し、1人が亡くなりました。2月13日午前1時頃に発生したクロントイスラムLOCK1-2-3地区の火災では、延焼がひどく、6,876?が焼失、約250世帯850人余が被害に遭いました。
被災者数、被災面積が最も大きかったクロントイLOCK1-2-3地区の火災では、家を失った人々のために港湾局の敷地内に仮設住宅の建設が提案されていますが、現在までクロントイLOCK地区から近い「フラット9」(公団住宅)の1階広間部分で仮の生活を送っています。しかし港湾局側は、「敷地内の土地はタイの流通に必要な場所であり提供できない」と告知しているため、避難生活の先行きは不透明です。一部の住民は、火災現場近くの高速道路下や近隣宅での生活を余儀なくされています。
火災直後の数日は、政府・企業・チャリティ団体などが、配給や支援物資の提供を行ってきましたが、これらは継続的な支援ではなく、支援されたものも当座の日常生活に必要な物資と飲食料が主となっていました。
スラムの家屋の権利関係や居住条件は、複雑かつ錯綜しており、又貸しなどで、誰が居住者であるか、誰が家屋の権利者であるかなどを特定するのが難しくなっています。そのような状況の中で、被災住民とNGO、行政を交えた復興へ向けた話し合いは続いていますが、住宅再建、住民の生活復旧のメドは現在でもまだ立っていません。
火事跡
避難所に設置されている救援物資センター(高速道路下)