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教育奨学金事業・中高生学生寮の運営

心肺同時移植手術を受けたチュアパーン奨学生訃報


ジンタナ(24歳)

チュアパーンスラムにチンタナー(愛称:トゥック)という女性がいました。1982年4月6日生まれ、享年24歳。 チンタナーさんは先天性心疾患による気管支拡張症で、1996年5月2日にバンコクのチュラロンコン大付属病院で心肺同時移植手術を受けました。タイ国内でも心肺同時は珍しく余命3年と診断されました。
手術後、田舎で療養生活を送り、病院でも体力が許す限り院内学級や自習で勉強を続けていました。バンコクに戻ってきてからは夜間の中学校に通い2年間で卒業し、17歳で職業専門高等学校に入学したときは手術から3年が経過していました。高校在学中から徐々に体調を崩しがちになり、入院を繰り返すようになりました。疲れやすく、呼吸がうまくできなくなり、遠くに出かけることもできなくなりましたが、家事や家計を助けるための簡単な仕事をしながら勉強を続けました。高校卒業後、通信制のスコータイタマティラート大学のマスコミュニケーション学科に入学しました。飲み続けなければならない大量の免疫抑制の副作用による吐き気や頭痛に苦しめられ、体力が落ち体調が優れなくとも、決して諦めることなく勉学に励み続け、夢であった大学の課程を修了しました。2006年12月末、細菌性の口内炎ができたため食事を摂ることができなくなり体力の低下がさらに進みました。2007年1月13日にチュラロンコン大付属病院に入院、治療の甲斐なく1月23日未明、天に召されました。

チンタナーは自分の身体の問題を理解し受け入れながらも、いつも前向きで明るく決してあきらめることをしませんでした。請負トラック運転手の養父、工場で働く母、請負仕事の妹とその息子の5人の貧しい家庭で、治療費や高価な薬代捻出のための経済的負担は多大なものでした。
体力の許すうちは両親の負担を少しでも減らしたいとアルバイトに出ていました。ここ数年は体力が落ちてやせ細り、立っていることも苦しくなってきたため、手先の器用さを生かして座っていてもできるビーズ細工のアクセサリー販売をしていました。「生きる機会をもらったのだから、毎日を一所懸命生きたいのです」と、常に前を向き、将来に夢を抱き続けていました。
2006年、大学課程修了間近にチンタナーはこのように語っていました。
「私は、学んできたことを直接活かして仕事に就くことができません。ですが、学んできたことは確かに私の身についているし、私にできる仕事に活かす事ができるはずだし、一生、使っていけるものだと信じています。」
病状ややせ細ったその体型から気の毒な弱々しい人という印象を持ち、励まそうとして、逆に彼女の前向きさ、明るさに励まされた人も少なくありませんでした。
チンタナーの最期の数日間、お母さんは出来る限り多くの人に彼女が大学の課程を修了したこと、もう体力的に命をつなぐのは難しいことを知ってもらいたいと願っていました。チンタナーが多くの方に支えられてこれまでがんばってきたこと、そして夢をかなえたことを知る人たちの想いで見送ってほしいと願っていました。応援してくださったすべての方々にお礼と報告をしてほしいと願っていました。
これまでご支援頂いた皆様に心からお礼申し上げます。
短かったけれど、チンタナーは短い生涯を終えましたが、常に輝いていました。
 

ジンタナ(24歳)

ジンタナ(24歳) 

江幡むつみ 

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